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人間力とは?人間力の高い人の特徴をご紹介!

人間力を高めるには

【人間力】という言葉を聞くことが多くなりました。
多面的な言葉であり明確に理解して使用している方は少ないと思います。

人間力が意味するところは、内閣府の人間力戦略研究所によって明確に定義されています。
それは、『社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力』であるというものです。

1.知的能力

知的能力とは、総合的あるいは本質的に物事を見る基礎学力や、情報を収集して論理的に分析する論理的思考力などのことを指します。事実を単に情報として知るのではなく、得た情報から物事の本質を見抜くミクロ的な視点と、得た情報を応用して全体を類推するマクロ的な視点の両方を養うことも含まれます。

2.社会・対人関係力

社会・対人関係力とは、人との関わり方や人として社会とどう向き合うかを広く網羅した能力です。友人や家族とのコミュニケーションだけでなく、文化や世代、立場を超えた人々とのコミュニケーションを円滑に行う能力や、特定のチームのメンバーとしての立場・リーダーとしての立場を理解して行動すること、他者の意見に真摯に耳を傾けて尊重することなどが含まれます。

3.自己制御力

自己制御力とは、目標のために自分の気持ちや行動をコントロールすることです。学習意欲を持ち続けることや実際に学ぶこと、社会に参加していきたいという思いを持つことや実際に参加すること。自分の可能性を探り理想とする自分になるために努力をし続けることなどが含まれます。

出典:内閣府「人間力戦略研究会報告書」、2003年4月

https://www.tfu.ac.jp/students/feature/arpn890000001r3x-att/human.pdf

人間力を構成する5つの要素

内閣府では、人間力について上記の3つの力をさらに5つの要素に分類した、幅広い能力の集合体としても定義しています。 その5つの要素についてご紹介します。

①コミュケーションスキル

人間は一人では生きられない生き物だからこそ、周囲の人々と意思を円滑に疎通するコミュニケーションスキルは不可欠な要素です。会社で仕事をしているときは、自分がしている業務内容や進度を同じ仕事をしているチームメンバーやリーダーに適時報告し、仕事が円滑に進むように連絡を取ります。また、挨拶や雑談を通して楽しく働ける環境を作ることも、仕事、大きく言えば社会生活に欠かせない要素となります。

在宅勤務が増えていますが、人と直接会わないときでもコミュニケーションスキルは求められています。同じ作業場にいないからこそ、より一層こまめに作業内容や進捗状況を共有し、チーム全体が気持ちよく働けるような声掛けが必要になるというものです。

②セルフコントロールスキル

楽な方に流れていては、人間は成長することは困難です。より良い生き方や、より良い社会を実現するためにも目標を設定し、目標実現を目指して自分をコントロールしていかなくてはいけません。

もちろん限度はありますが、ある程度のセルフコントロールは必要になるでしょう。
「遊びたい」「だらだらと過ごしたい」という気持ちを抑えて、勉強や仕事、社会活動に励むこともあるかもしれません。

また、人との関係の中で強い怒りや自己嫌悪を感じた場合、ストレートに想いを表現すると人間関係に亀裂が入ってしまうことがあります。セルフコントロールスキルを発揮し(アングガーコントロール)、なぜトラブルが起こっているのか、あるいは起こしてしまったのかを理性的に判断する必要があります。

③知性

生きていくうえで知性(インテリジェンス)は不可欠です。
知性とは、単に学力や知識の豊富さだけでなく、習得した知識を応用して活かす能力も含みます。

また、習得した知識から導き出したことだけでなく、想像力を働かせて新しい概念や行動を生むこともインテリジェンスのひとつです。

つまり、豊富な知識を持ちつつ、その知識にとらわれない状態が真のインテリジェンスある人間であるというものです。

④包容力

他人が自分とは異なる意見を述べたときには尊重してその意見を取り入れたり、自分の意見を見直したりする包容力も人間力のひとつです。包容力を発揮するためには自分の意見をあくまでも「ひとつの考え方」として話す謙虚さも必要となるでしょう。

包容力があれば、多くの場面においてフラットな気持ちを保てるようになります。「自分とは違う意見だから」という理由で相手に対して敵対心を持たないようになり、「相手が間違っていることを悟らせよう」として言い争いになることも減るであろうというものです。

⑤耐える力

生きていくうえで、自分の思い通りにならないことは数えきれないほど起こります。
しかし、その一つひとつに「我慢ならない」と怒りを発揮しているならば、前に向かって進むことが難しくなるでしょう。
思い通りにならないときには耐える力を発揮し、自己鍛錬の機会だとポジティブに捉えることが必要です。

具体的な人間力の高い人の特徴5つ

人間力の「3つの力」や「5つの構成要素」などで成り立つ「人間力が高い人」とは、具体的にどのような特徴を持つ人のことなのでしょうか。人間力が高いと評価される人に共通してみられる特徴を5つ紹介します。

①思いやりがある

人間力が高い人は包容力があり、相手の立場に立って考えることができる人です。相手の変化に気付いて思いやりのある声掛けをし、相手が予想もしなかったような言葉や反応を見せるときでも、「何か事情があるに違いない」と考えます。

自分自身が困難な状況に置かれている場合でも、他人への思いやりを忘れることがありません。いついかなるときも、自分だけでなく、相手の気持ち・立場を想像することができるのが人間力の高さに結びつきます。そこにはいつもの様子と違うという客観的に見る観察力とその裏付けとなる共感力が必要です。

②優しい

人間力がある人は、特定の相手だけでなく、社会や世界に興味を持ち、どうしたらより良い状態になるか、自分には何ができるのかについて考えます。そのため、人や動物、地球に対して優しい気持ちを自然に抱くようになり、言葉や行動の端々から優しさが溢れ出るでしょう。人間関係では穏やかで話し易く、一緒にいて心地よい人間です。

反対に、人間力が高いとは言えない人は、自分にしか興味がなく、自分にとって利益となることに対しては全面的に努力をしますが、自分の利益につながらないことに関しては優しさどころか興味も示しません。

③自己中心的な理由で怒らない

人間力が高い人は、自分とは異なる考え方や行動に対して理解を示し、良い部分に関しては積極的に取り入れようとするため、「自分とは意見が違うから」や「気に入らないから」といった理由で怒ることはありません。
どうしても相手の言動に納得ができないときでも、「何か事情があるのかもしれない」と相手の置かれた状況に思いを巡らします。人間力が高い人はセルフコントロールスキルに長けている人ですから、基本的には怒りの感情もコントロールして、すぐに怒ることはありません。

しかし、人間力が高い人は絶対に怒らないということではなく、どんなに人間力が高い人でも特定の状況下では怒りを表出させることがあります。例えば、ある人の独善的な行為が別の人に被害を与えている場合は、人間力が高い人でも怒りを表現するでしょう。根拠のない悪口を言っている人がいれば、「いい加減な話を本人がいないときに言うのはいけない」と毅然とした態度で叱ります。

また、特定の行為がその人の不利益につながっている時も、怒りを表現することがあるでしょう。悪口を言うと、あなた自身の人間性を疑われますよと、怒ることで相手の将来を良い方向へと導こうと考えます。そこには視野の広さやモラルの高さの裏付けがあるのです。

④教育・スポーツに対して向上心がある

人間力の高い人は、常に自己研鑽を怠りません。教育やスポーツなどから能力を伸ばしたいと考える分野を選び、自分の定めた目標に到達するまで努力を続けていきます。

目標に到達したのかどうかは、あくまでも自分比で判断するのも人間力の高い人の特徴です。
人はそれぞれ能力やバックグラウンドが異なることを深く理解しているので、勝ち負けや順位に執着することはありません。

⑤なりたい自分を明確に持っている

人間力の高い人は、今の自分が未完成であることを知っています。なりたい自分の姿を明確に思い描き、具体的な目標を定めて、自己鍛錬を続けていことも人間力の高い人の特徴と言えるでしょう。

思うような行動を取れなかったときや人を傷つける発言をしたときは反省し、自分を成長させる糧とするのです。その結果、自分というものを持っており、リーダーシップがあるのです。

最後に

人間力を高めるには上記の3つの力を高め、5つの特徴を意識して身につけることが重要です。
まとめれば、自分はこうゆう人間になりたいという「志」を持つことが大切です。

参考にするものとして、優れた経営者の経営哲学に触れたり、流動的な時代の中、専門家の講演会を聞き学ぶ方法があります。そして読書の習慣は人間力アップには欠かせないものとなります。現代は、YouTubeなどでも簡単に名書の要約を観て学ぶことができます。まずは、自分にとって興味のある分野から学び、意識して行動に移していくことで人間力が磨かれていくでしょう。